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税理士の先生に聞く 不動産投資での節税のポイント

不動産投資ではご存知の通り不動産の取得時・保有中・売却時にそれぞれ税金がかかり、これは大きな負担になります。不動産収入が増えたから法人化するのではなく、初めから法人化を考えて税理士に相談しながら進めていくことが重要です。この税金負担を少しでも軽減するための方法を税理士の先生にインタビューしました。

節税効果が高い物件とは

税理士から見た場合、どのような不動産物件を高く評価しますか。
税効果の視点から見るので、減価償却を最大化できる物件や相続税対策として有効な物件を高く評価します。

申告に有利な物件とどのような物件でしょうか。
不動産物件を保有して運用している間の申告では減価償却費が問題になるので、物件の取得価格に対する建物の比率が高い物件が有利です。なぜならば土地と建物のうち、建物の部分が減価償却の対象になるからです。

例えば取得価格が100の土地付き物件を考えた場合、土地と建物の比率が50対50の場合と20対80の場合では、減価償却費に違いが出ます。80の方が30多く償却できお得な物件と言えます。

次に、償却しきった後の帳簿価格を考えてみると50対50の物件では帳簿価格が50になり、20対80の物件では20になります。それぞれの物件をもう1度100で売却できたとすると、50の物件は差額が50、20の物件は差額が80になります。

物件を売却したときには、帳簿価格と売却益との差額に対して課税が生じます。従って20対80の物件の方が課税対象額は大きくなります。しかし、売却時は土地と建物分離課税になるので20%の税率で済みます。そう考えると保有している期間では、収入に対して減価償却費が発生する一方で、売却時には差益に対する20%の税金がかかりますので、50と80の差の30に対して税率からすると30%儲かることになります。

建物比率の高い物件とはどのような物件でしょうか。
具体的には一戸建よりもマンションです。また、海外の物件は建物比率が高いようです。例えばニューヨークなどで駐在員が住むような物件では建物比率が7割くらいです。

例えば木造の築30年で1億円の中古物件があったとします。木造は法定耐用年数が24年で、耐用年数を過ぎた物件の償却期間は本来の法定耐用年数の20%になります。築30年の物件では償却期間は4年です。この物件の建物の価格が7000万円だった場合、毎年約1800万円くらい償却できて4年後には土地の取得価額の3000万円しか帳簿価額が残っていないことになります。

アメリカの中古の市場はとても充実しているので、中古でも価値が下がることがありません。同じ物件をもう1度1億円で売ることも可能です。その時の売却益は7000万円になり税金は20%の1400万円です。しかし最初の4年間で約1800万円づつ償却していますので7000万円に対して50%の税効果があり、3500万円くらいの節税をしていて最後売った時には1400万円の税負担で済むということになります。

法定耐用年数と経済耐用年数の違い

法定耐用年数と経済耐用年数の違いは?
税務では法定耐用年数が基準です。経済耐用年数は中古物件に使うのかもしれません。例えば法定耐用年数50年の物件で20年経過した中古物件を取得した場合、残りの利用可能期間が30年とも限りません。そのため実際に使えると見積もられる耐用年数のことをたぶん経済耐用年数と言うのだと思います。

中古の物件の場合、合理的に見積もりことが難しいので中古の物件に対する耐用年数の簡便な計算方法があります。50年の物件に対して20年経過している場合には、経過した20年の20%相当+残存期間の30年で計算します。ですので、(20×0.2)+30年=34年34年で償却するのが簡便的な中古物件の見積もり耐用年数です。

節税を最大限に活かせる物件とは?

減価償却を最大限に活かせる物件は、どのような物件でしょうか。
耐用年数が短い木造です。RCは耐用年数が47年ですが木造の耐用年数は24年です。RCのビルを3本持っている場合とRC造を2本と木造を5個くらい持っている場合とでは、評価額が同じならば減価償却の問題でRCを2本と木造を5個方がお金が残ります。ただ所有していた物件を売るときには、日本の中古マーケットでは価値が落ちる点が不安です。

不動産投資にかかる税金

基本的な質問ですが、不動産投資に関わる税金の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。
不動産を買ったときには、不動産登記に必要な登録免許税、不動産取得税と消費税です。不動産を保有している間は固定資産税と都市計画税です。売却するときには譲渡税、所得税、住民税がかかります。

不動産取得税に対する対策を教えてください。
不動産を買ったときにかかる不動産取得税は4%です。この不動産取得税を節約する方法として、法人の場合は物件の売買をするのではなく、物件を持っている会社を買って合併させる方法があります。ただし、ある程度のボリュームがあって、それぞれの会社が不動産事業を行っていることが要件です。

また、会社の中の一部門である不動産部門を取得する場合は、1度会社分割を行ないます。分割後の会社の株式を売買します。株式を買った側は、いったん子会社化したうえで子会社を吸収合併させます。会社同士の合併や組織再編成行為になるので、消費税はかかりません。登録免許税は若干かかりますが、不動産取得税は非課税です。

その他にとても大きなビルの場合は、信託設定をしたうえで信託受益権を売買する方法もあります。信託設定をするときに0.4%くらいのコストがかかりますが、売買するのは物件ではなく受益権の売買になりますので、不動産取得税はかかりません。この方法は雑誌でも紹介されるほどポピュラーです。

消費税の還付が受けられない(コラム)

建物を買ったときには、消費税を払います。この消費税は、物件を買った個人ないし法人が、消費税の申告をするときに預かった消費税(仮受け消費税)から払った消費税(仮払い消費税)を差し引いて納付します。払った消費税が預かった消費税よりも多ければ還付されます。これが基本的な消費税の計算構造です。

しかし、不動産投資の場合、基本的に還付が受けられません。 投資対象の物件は基本的に居住用の物件です。居住用の場合、住居を借りる人は消費税を払いません。そのため預かった消費税が0になってしまうのです。 少し細かい話になりますが、売上には課税売上げと非課税売上げという2つの概念があります。

例えば商品を仕入れて売る会社の場合、100円で仕入れた商品に消費税を含めて108円を払います。その商品を200円で売る場合は216円で売ります。この取引は、課税売上げに該当します。 その一方で、消費税を課さなくてもいい種類の取引があり、その売上げを非課税売上げといいます。住宅の家賃がこれに当たります。

この2つの売り上げが両方あるときには、預かった消費税から、払った消費税に課税売上げ割合を乗じた額を引き算して申告する消費税を計算します。課税売上げ割合とは、全体の収入のうち課税売上げが占める割合を指します。 課税売上げ割合は、(課税売上げ+非課税売上げ)分の課税売上げで計算します。非課税売上げの割合が高くなると、還付の額が減っていくことになります。

例えば、先ほどの例で課税売上げの割合が50%だった場合、16円から引ける仮払い消費税額は8円のうちの50%相当額(4円)になってしまうのです。住宅の賃貸の場合にはほとんど非課税売上げになります。それ以外の収入がない場合は仮受け消費税が0になってしまうのです。

消費税の還付を受けるために家賃収入が始まるまでの期間、自動販売機を置き、自動販売機の収入を申告することで、還付を受ける方法もありましたが、今は課税売上割合が大幅に変動する、利用目的が大幅に変動する時には、還付された税金を返さなければならなくなりました。 課税売上げ割合を増やすために金の売買を行なう人もいます。金の売買は課税売上げです。 金の売買を何回も行うことで、課税売上げを創出するのです。

税務上の計算では基本的には問題なさそうですが、課税売上げの創出目的で行っていると税務署から注意を受ける可能性があると思います。 不動産投資と合わせてできる事業を提案できることが一番良いと思います。

金融機関から融資を受けるには

金融機関から融資を受けやすい決算報告書はあるのでしょうか。
個人の場合、物件の収入だけではないのでそれ以外の収入も合わせた全体の収入状況によると思います。金融機関は基本的には担保をとりますが、返済期間中に融資を返済できるだけの収入があることが条件になります。

法人の場合はどうですか?
法人の場合は3期分の決算書が必要です。

銀行では、融資の審査を行う際に役員報酬が600万円以上の場合、役員報酬も利益に含めて計算するのでしょうか。ある会社で、決算書上では100万円のマイナスが出ていたのですが、役員報酬を2000万円出していたので、通算で1300万円の黒字が出ているとして融資が出たケースがありました。
銀行は会社に対して融資を行う場合、会社単体だけではなく役員の個人保証も付けさせます。そのため会社の財務状況だけではなく、保証人の収入の状況とセットで考えます。会社から出た役員報酬は、役員の収入になりますので役員の信用として成立したケースではないかと思われます。

物件を増やした時の申告問題

白色申告と青色申告の違い

白色申告から青色申告に変える時期を教えてください。
個人の場合でも、最初から青色申告をすべきです。

白色申告と青色申告それぞれのメリット、デメリットを教えてください。
白色申告のメリットは申告が楽なことです。デメリットは税務所が更正する場合、説明をする責任がないことです。白色申告は推定課税を取っていて税務署側が計算した税額で一方的に納税させることができます。

青色申告は、青色事業者としてまじめに帳簿をつけますと自ら宣言をします。一方、税務署側も税務調査に際して説明をする義務があります。これが白色と青色の違いの一つです。

青色のメリットは、青色申告特別控除があります。青色申告の適用を受けていることによって無条件に収入から控除できる額が10万円のパターンと65万円のパターンがあります。

65万円の控除を受ける場合、会社並みに複式簿記で帳簿を作成し貸借対照表も添付することが要件です。利益から65万円を引けることはおおきなメリットです。また、生じた赤字を3年間繰り越せます、そのほかに特別償却などの税制上の特典もあります。

不動産投資の場合、65万円の控除を受けるためにはある程度の規模が必要です。その基準は物件を5棟か10室持っていることと言われています。それ未満の場合は10万円までしか控除されません。つまりマンションの部屋を別々の場所に10室(10区分)持っているか、一棟モノを5個持っているかです。

一棟という場合、2部屋しかない建物でも一棟と数えます。この基準は、主たる収入が別にあって、副業として不動産収入がある場合に65万円を控除させないために存在します。

青色申告を受ける物件の条件はありますか。
物件の条件は特別ありません。

不動産所得の所得税の税率は何%ですか。
所得税は、不動産所得だけの計算をしません。所得税は総合課税所得と呼ばれていて、給与や配当、年金などを合算して計算します。合算した所得(収益)に対する所得税の税率は最大50%です。

税理士との顧問契約について

税理士と顧問契約をする基準はなんですか。
一概には言えません。マンションの一部屋をサラリーマンが持っている程度であれば必要ないと思います。しかし、これから物件を増やしていきたいと考えている方は、書類の作成や節税対策に関するアドバイスを受けたいのなら早いうちから税理士に相談した方がよいと思います。

法人化すべきか、個人のままがいいのか

法人化のタイミング

青色申告特別控除の65万円の控除を受けるよりも法人化した方がいいタイミングはありますか。
所得税は最大50%であるという話をしましたが、法人税は実効税率が36%です。つまり税率が36%以下であれば個人のまま、それを超えたら法人化したほうがよいということになります。

法人化した時のメリットはどのようなことがありますか?
法人化した場合、その方が持つのは物件ではなく会社の株式です。個人が直接不動産を持っているよりも株式を持っていた方が評価額が下がるケースがあり相続が生じた場合に有利です。

会社の場合、その会社の純資産の評価します。株式を持っている会社が帳簿価額100の不動産を持っているとします。不動産の評価額が200に上がった場合、会社の純資産評価は200で評価されます。この場合、帳簿価額の100と評価額の200との差の含み益100に対して、税金相当額をマイナスできます。含み益の100に対して法人税の税効果が40%あるので、その会社の純資産は40を引いた160という評価になります。株式の評価も160になります。個人で直接不動産を持っていたら評価額が200のままなので法人化した場合のメリットになります。

デメリットは、会社にすると税務調査が定期的に来ることです。また地方税の法人住民税の均等割りがあり、利益が出ていても出ていなくても負担しなくてはならなりません。東京では7万円です。法人を持っていたら誰でもかかります。地方税に関しては法人にするときの税率差に含めて考えるべきだと思います。

個人と法人での違いはありますか。
従業員にした家族の給与支払いの自由度に差があります。法人の方が自由度が高いのです。個人の場合も専従者給与で認められるのですが、前もって登録が必要なため柔軟な運用ができません。ビルの家賃収入を得るための法人を家族経営されている場合、家族が役員になっているところがよくあります。

家族経営の会社では、家族が取締役になっています。取締役の給料を改訂できるタイミングは年に1回しかありません。そのため、突然ボーナス払いたいと思っても払えません。

その他、法人化する際に気を付けることはありますか。
個人で持っていた不動産を法人所有にするときに、物件を法人に売らなければなりません。そこで不動産取得税の4%がかかります。今後不動産を増やしていく意思がある方は、ある程度物件がたまってから法人化するよりも最初から法人化しておいた方が得です。法人として物件を買うべきです。不動産に限らず、一般的には収益が年間1,000万円以上になったら、個人よりも法人化した方がよいと言われています。それくらいの目線で、投資を行なっていくことを考えているのであれば、早いタイミングで法人化した方がよいと思います。

感想

個人で不動産投資を行なっていたとしても、管理会社を作り、法人として融資を受けられるようになったらその後は法人で買った方がよい、最初の組立てが一番大切であるということですね。
また、最初から税理士の先生に相談しながら進めていかないと後々損をする可能性が非常に高いので、どのタイミングで法人化するかではなくて、最初から法人化するということですね。

今日はどうもありがとうございました。

インタビューを受けてくださった税理士様

税理士法人サンク・アンド・アソシエイツ
代表税理士 齊藤 健一
ホームページ http://cinqassociates.com/
事業内容  会計・税務顧問業務/トランザクション・サービス業務/個人相続・事業承継支援

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